コラム

AIは管理職の仕事を奪うのか。私たちの答えは「戻す」

AIは管理職の仕事を奪うのか? 整理・設計・実装・情報伝達の四つをAIに渡し、いちばん現場を分かっている人を判断と実行に戻すのが、私たちの立場です。

エマルシア株式会社

できる人ほど、現場から引き剥がされる

できる人を昇進させることが、その人の力を殺すことがあります。私たちは、有能な人が手を止める会社を、そのままにしたくありません。腕のいい技術者がいます。図面を引かせれば速い。機械の癖を体で覚えている。トラブルの原因を、触っただけで言い当てる。会社はその人を評価して、肩書きを上げます。課長にする。部長にする。

肩書きが上がったところから、その人の仕事が変わります。手を動かす時間が減り、会議の時間が増える。現場の声を上にあげ、上の方針を下におろす。資料を作り、調整をし、説明をする。気づけば、いちばん現場を分かっていた人が、いちばん現場から遠い場所に座っている。私たちは、こういう会社をいくつも見てきました。そして最初は、それが普通の出世だと思っていました。

「AIが管理職の仕事を奪う」という話

AIが本当に消すのは、管理職という人ではなく、その人が押し込まれた役回りのほうです。私たちは、そう見ています。最近、AIが管理職の仕事を奪う、という議論をよく見かけます。現場の一次情報を、上司を経由するうちに都合よく加工していくだけの層。会議で語り、きれいな資料を作るだけの層。そういう「語るだけの仕事」は、AIに置き換えられて消えていく、という話です。

聞いたとき、私たちが思ったのは「管理職が消える」ことではありませんでした。思ったのはこうです。技術で生きてきた人に管理という役を強いて、成果が出なくなっている会社が、あまりに多い。AIが本当に焼き払うのは、人ではなく、その「強いられた役回り」のほうではないか。

世間の常識
AIが管理職の仕事を奪って、人が消えていく
私たちの読み
AIが役回りを消して、有能な人が実行に戻れる

整理する。設計する。実装する。情報を運ぶ。これらをAIと私たちが代わりに引き受ければ、その人は会議室に縛られる理由を失います。

問題は「人」ではなく「人間のパイプ」

人を情報の運び役にすると、事実は誰の悪意もなく歪んでいきます。誤解されたくないので、はっきり書きます。私たちは管理職を否定しているのではありません。否定しているのは、人を人づてのパイプとして使う構造です。

現場の事実が、課長の解釈を通り、部長の都合を通り、経営に届くころには別物になっている。これは誰かが悪いのではなく、人が間に挟まれば必ず起きることです。人は忘れるし、角を立てたくないし、自分に都合よく丸める。だから情報は歪む。これまでは、その歪んだパイプを人間関係でつなぎ止めるのが、間に立つ人の役割でした。

AIは、このパイプを別物に変えます。現場のデータを直接すくい上げ、加工せずに見せる。間に立つ人は、情報を右から左へ運ぶ仕事から解放されます。残るのは、その情報を見て判断し、手を動かし、責任を負う仕事です。つまり、語る仕事が減って、実行する仕事が残る。価値が逆転するのは、まさにここです。

現場のデータを直接すくい上げ、加工せずに見せる。
間に立つ人は、情報を運ぶ仕事から解放される。
残るのは、見て判断し、手を動かし、責任を負う仕事。

語る仕事が減って、実行する仕事が残る。

自分は、語る側になっていないか

偉そうなことを言える立場ではありません。この話を考えながら、私たち自身も自問しました。自分は現場の側なのか、それとも語るだけの側になっていないか、と。

つくる側にいたつもりが、いつのまにか語るだけになっている。これは肩書きの問題ではありません。AIの使い方ひとつで、誰にでも起きます。AIを「答えを探すため」に使えば、人は考えた気になって語りだけが上手くなる。AIを「実行するため」に使えば、判断と着手が速くなる。同じ道具で、トーカーにもデュアーにもなる。私たちは後者でありたい。だから私たちは、AIを答え合わせの相手ではなく、手を速く動かすためのテコとして使うと決めています。

AIは、人を消す道具ではない

では、どうするか。私たちの結論は、AIを人減らしの道具として使わない、ということです。

AIに任せるのは、整理と設計と実装と、情報を運ぶ仕事です。そこを引き受けることで、いちばん現場を分かっている人が、判断と実行に集中できる状態をつくる。会議のための会議をなくし、運ぶだけの説明をなくし、その人の手と頭を、本来あるべき場所に返す。AIが得意な上流の分析は安くなり、AIが代われない現場の判断と段取りの価値が上がる。だから私たちは、その価値が上がるほうに、人を戻します。

取れるのは、現場の痛みを知っている人だけです。
だから、その人を消すのではなく、強くする。

責任は、AIは取ってくれません。

私たちが見ているのは、肩書きではなく人

できる人を現場に戻したいと考えているから、私たちが顧客と向き合うとき、見ているのはシステムの仕様ではありません。この会社の誰が、本当は何ができる人で、いまどんな役を強いられて手を止めているのか。その人の何が変われば、現場に戻れるのか。そこを見ます。

新しいツールを足して仕事を増やすのではなく、運ぶだけの仕事を引き算して、できる人を実行に戻す。それは派手なAI活用の話でも、人を入れ替える成長の話でもありません。いまいる人が、本来の力を出せる場所に戻り、明日も同じように会社が回っている。その安定を、私たちはつくりたいと思っています。AIが進んでも、最後に現場を支えるのは人です。私たちは、その人を強くする側に立ちます。

よくあるご質問

誰を現場に戻すのがよいか、どうやって決めるのですか。
私たちは、まず日々の時間が会議や調整、資料づくりにどれだけ吸われているかを、ご本人と周りの方から聞き取ります。手を動かせば誰よりも速いのに、いまその手が止まっている人を探します。そのうえで、整理や情報伝達のどの部分をAIと私たちが引き受ければ手が空くかを、一つずつ確かめます。誰をどう動かすかは会社ごとに違うので、最初から決め打ちはしません。
AIに役回りを引き受けてもらう取り組みは、期間や費用の目安がありますか。
私たちは、いま何が回っていて誰の手が止まっているかを読む期間を、二週間から一か月ほどいただきます。費用は、整理や情報伝達のどこまでを引き受けるかで変わるため、読み終えてからお出しします。最初に一律の金額を出さないのは、何が起きているか分からないうちの見積もりが、後でずれるからです。まずは一つの部署や一人の業務から始めて、手が空くことを確かめてから広げる進め方もお勧めしています。
整理も実装もAIに任せたら、その仕事をしていた人は余ってしまいませんか。
私たちが引き受けるのは、運ぶ・整える・作るといった手間の部分で、判断と現場での実行はその人に残ります。それまで会議や資料づくりに取られていた時間が戻るぶん、手が足りなかった現場の仕事に回っていただけます。余るのではなく、本来やるべき場所に戻るという感覚に近いです。もし戻る先の仕事が見当たらないときは、そこも含めて一緒に整理します。
管理職本人が「自分の仕事がなくなる」と感じて反対したら、どう進めますか。
私たちは、その方の仕事を無くす話ではなく、運ぶだけの負担を減らして判断と実行に時間を使ってもらう話だと、最初に共有します。情報を右から左へ動かす作業が減るほど、その人にしかできない判断の価値は上がります。反対の多くは置き換えられる不安から来るので、何が残って何が減るのかを具体的にお見せすることを大事にしています。無理には進めず、ご本人が納得できるところから始めます。

技術は真似できる
定着させるノウハウが、弊社の強みです。

Q1 / 4あと 4 問

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