私たちは「クセの強い会社専門のシステム屋」を名乗っています。だから、かっこいい成功談ではなく、自分がつまずきかけた話を書きます。

きっかけは、「営業したくない」だった

自社のホームページに、もっと人を呼びたい。そう思ったとき、最初に浮かんだのが「集客を、まるごと自動化する」という発想でした。AIが訪問者を見てページを直し、記事を勝手に書いて、24時間ひとりでに回り続ける。そういう仕組みです。

なぜそれを作りたかったのか。理由は、自分でも分かっていました。人に会って売り込むのが、嫌だった。それだけです。

営業したくない
立派な仕組みの裏に、たいてい本音が隠れている。

技術は、逃げ場所になりやすい。

自動化は、営業の代わりにはならない

いったん、手を止めて考えました。この仕組みは、本当に営業の代わりになるのか。結論から言うと、なりません。営業とWeb集客は、似ているようで、まったく別の仕事だからです。

営業 = 0 を 1 にする
01

会って、話を聞いて、「この人になら任せられる」と思ってもらう。信頼を、ゼロから立ち上げる。

Web集客 = 1 を N にする
1N

すでに刺さるものがある状態を、待ち受けて広げる。ゼロからは、立ち上がらない。

片方をもう片方で、肩代わりはできない。

私たちの仕事は、現場へ行き、人を見て、その会社のクセごと設計することです。これは、会ってはじめて伝わります。画面の向こうだけでは、伝えきれない。だから自動化に逃げ込んでも、その先でまた「会って伝える力」を問われる。逃げた先に、同じ壁が立っているだけでした。

そもそも、順番が逆だった

もうひとつ、もっと根本的な間違いに気づきます。「訪問者のデータを見て、ページを自動で直す」——これは、人がもう来ている前提の話です。まだ誰も来ていないページを、何を手がかりに直すというのか。

🚪
入口をつくる
まず、ここ
👣
人が来る
上流
📊
データが貯まる
下流
⚙️
自動で直す
それは、最後

入口が先。自動化は、いちばん最後でいい。

人が来ていないのに自動で直しはじめれば、わずかなノイズを正解だと思い込んで、むしろ悪くなっていきます。誰が来るかが先、来た人をどう動かすかは後。私は、その順番を、まるごと逆にしていました。

「自動化したい」が、目的になっていないか

振り返ると、これは私の癖です。人が手でやる泥くさい部分を、賢い仕組みでまるごと消したい。気づけば、得意な土俵に問題を引きずり込んでいる。けれど、私たちが日ごろお客さんに言っているのは、こういうことでした。

「辞めたらどうしよう」という不安から仕組みを入れるのは、逃げです。今いるメンバーで勝てる設計のほうが、ずっと合理的ですよ。

人に向かってそう言いながら、自分は「営業したくないから、自動化」に逃げていた。やっていることの構造は、まったく同じでした。お恥ずかしい話です。

それでも、自動化をやめるわけではない

否定して終わりたいのではありません。自動化が悪いのではなく、順番と目的を取り違えると毒になる、という話です。だから順番を入れ替えました。先に入口をつくる。データを見た自動化は、人が来てから動かす。そして何より——書くことが尽きたら、書かない

中身のないページを量産するのは、「クセの強い会社専門」を名乗る私たちにとって、いちばんの自己矛盾です。語るべきものがあるときだけ、書く。この一線が、自動化に呑まれないための歯止めになります。

同じ壁の前に立っている、あなたへ

もし今、「これを自動化したい」と思っているなら、一度だけ、自分に聞いてみてください。それは、どちらの自動化ですか。

タップして、確かめてみてください。

このふたつは、見た目がよく似ています。だから間違える。そして間違えると、逃げた先で、同じ壁にもう一度ぶつかる。

私たちは、その壁の前で立ち止まれた会社です。だから、お客さんが同じ壁の前に来たときも、一緒に立ち止まれる。何をどう作るかの前に、その人が本当は何に困っているのか——そこから一緒に考えます。