コラム

経営は水、現場は油。混ざらない会社のDX

良いシステムを納めても、現場は元のExcelに戻る。原因は機能ではなく、経営と現場が混ざらないこと。あいだに立つ人が定着だけに集中できる状態を、私たちが整えます。

エマルシア株式会社

良いシステムを入れても、現場は動かなかった

困りごとを聞いて、それを解決するシステムを作る。納める。最初のうち、私たちはそれで仕事が終わると思っていました。機能はちゃんと動く。画面もきれいにできた。なのに、しばらくして現場をのぞくと、誰も使っていない。元のExcelと紙に戻っている。

経営者は「せっかく入れたのに」と言い、現場は「現場のことを分かっていない」と言う。どちらも間違っていません。両方が正しいまま、会社は一歩も動かない。私たちは、つまずきました。何を作るかの前に、解かなければならない問題があったのです。

会社が変わらない原因は、たった二つ

たくさんの「変わらない会社」を見て、原因が二つに絞れることに気づきました。

一つ、経営が、なぜそれをやるのかを現場に説明できない。もう一つ、現場が、そのツールを使わない。DXがうまくいかない理由を、ツールの善し悪しや予算の話にしがちですが、根っこはここです。経営と現場のあいだに、説明と納得が通っていない。だから、どれだけ立派なシステムを置いても、ただ置かれているだけになります。

経営が、なぜやるのかを現場に説明できない。
現場が、そのツールを使わない。

DXが進まない根っこは、たいていこの二つだけ。

逆に言えば、動けば変わります。変わらないのは、動かないからです。では、どうやって動かすのか。私たちの答えは、機能を足すことではありませんでした。

水と油のあいだに、人がいる

経営と現場は、放っておくと混ざりません。水と油です。

経営は未来の話をします。三年後にこうなりたい、だからこの投資をする。現場は今日の話をします。目の前の伝票を、今日中にさばかなければならない。どちらも会社にとって本物の事情です。けれど、見ている時間も言葉も違うから、そのままでは交わらない。経営の「やってほしい」は、現場には「また面倒が増える」としか聞こえません。

この二つを混ぜるには、あいだに立つ人がいります。経営の理想を現場の言葉に翻訳し、現場の事情を経営に戻す人。多くの会社で、この役を誰かが背負っています。たいてい評価もされず、説明と説得に消耗し、燃え尽きていく。会社を動かしているのは、カリスマでも凄腕のエンジニアでもなく、このあいだに立つ人です。私たちはそう考えています。

経営現場
水と油:そのままでは交わらない

あいだに立つ人が、混ぜている。

私たちがこの考えに至ったのは、ある会社の変化を間近で見たからです。IT企業ではないのに、最新のツールを高い練度で使いこなし、組織が大きくなっていった。理由をたどると、優れたツールや一人の天才ではありませんでした。会社の理想を語る人、社内の誰とでも話せて全部を知っている人、それを形にする人。この三つの役がかみ合ったことが、勝因でした。理想を語る人だけでは現場は動かず、形にする人だけでは課題は解けない。あいだに立って翻訳する人がいて、はじめて回りはじめる。仕組みは、人の配置で決まっていました。

私たちが社名に込めた「乳化」は、ここから来ています。混ざらないものを、個性を消さずに混ぜる。経営を現場に合わせて薄めるのでも、現場を経営の型にはめるのでもなく、両方を活かしたまま一つにする。その混ぜる力に、私たちはなろうとしています。

私たちも、作れば動くと思っていた

偉そうなことは言えません。私たちも昔は、良いものを作れば現場は自然に使う、と思っていました。

これは違いました。どれだけ良さげなものを作っても、本物の現場で本物の人が使わなければ、成果はゼロです。ゼロに何を掛けてもゼロのまま。私たちが作ったものは、現場で使われて初めて、掛け算になります。設計の美しさや機能の多さは、それ自体では一円も生みません。使われて、はじめて価値に変わる。この順番を、私たちは取り違えていました。

機能を足すほど、現場の覚えることは増えます。新しい操作、新しい例外、新しい言い訳の余地。あいだに立つ人の説明コストは、むしろ上がっていく。よかれと思って盛り込んだ機能が、現場の反発を生み、その人をさらに消耗させる。私たちが減らすべきだったのは、作る量ではなく、その人が背負っている説明と説得の重さのほうでした。

つなぐ人が、定着だけに集中できる状態をつくる

では、どうするか。会社を動かす仕事は、四つの段階に分けられます。現場を整理する。真の課題を見つけて、解決策を計画する。実装する。そして、現場で動かし、反応を受けて直し続ける。

整理
現場に入り、仕事を解きほぐす
設計
真の課題を見つけ、要るものだけ計画する
実装
無駄を削ぎ、本当に要るものを作る
定着
現場で使われ続ける状態をつくる

最初の三つは私たちが。四つ目は、あいだに立つ人の仕事。

このうち、最初の三つは私たちが引き受けられます。深く聞いて言語化を引き出し、整理し、作る。AIを壁打ち相手に何度も仮説と検証を回し、無駄な機能を削ぎ落として、本当に要るものだけを残す。けれど四段階目――現場で使われ続ける状態をつくることだけは、私たちが代わりにはできません。そこは、あいだに立つ人の仕事です。

だから私たちは、その人が四段階目だけに集中できる状態を整えます。「なぜやるのか」を本人が自分の言葉で説明できるところまで、一緒に作る。後出しの問題で社内で詰まらないよう、できないことやリスクは先に渡す。あいだに立つ人が、説明と説得で消耗しないこと。それが、現場の反発がほどけ、経営と現場が噛み合いはじめる起点になります。

私たちが強くするのは、システムではなく、
あいだに立つ人です。

だから、機能より先に。

私たちが見ているのは、システムではなく人です。会社のどこに、誰がいて、その人の何が変われば、組織が前に進むのか。経営と現場が噛み合わない会社のDXは、機能では解けません。あいだに立つ人を強くすること。私たちがいちばん力を注ぐのは、そこです。それは派手な成長の話ではなく、明日も会社が同じように回っている、という安心の話です。

一人では、会社は変えられない。
だから、一緒に変える。

まとまっていなくても構いません。
お話を伺い、一緒に整理するところから始めます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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