コラム

「成長」を目標にしたDXが、しんどい理由

「これで会社が伸びます」と語るDXは、なぜ社長に刺さらないのか。経営者が本当に求めているのは成長ではなく安定です。成長を目標に置いた瞬間、DXは安心から最も遠い装置に変わる——成長の言葉で語りかけていた私たち自身の反省から書きます。

エマルシア株式会社

「成長しましょう」が、刺さらなかった

中小企業のDXを語るとき、つい「これで会社が伸びます」と言いたくなります。売上が上がる、生産性が上がる、事業が広がる。前に進む絵を描けば、提案は通りやすい。私たちも、最初はそう考えていました。

けれど、経営者と話していて、その言葉が思ったほど刺さらないことに気づきました。社長の顔は、成長の絵を見せたときより、別の話をしたときに動く。そこで一度、立ち止まりました。経営者がDXに本当に求めているものは、成長なのだろうか、と。

経営者が求めるのは、お金でも成長でもない

「経営者が求めるものは、お金か」。自分たちにそう問いかけて、違う、と思いました。お金は結果であって、目的ではない。では成長か。それも、半分しか当たっていません。

私たちがたどり着いた答えは、安定です。多くの中小企業の社長が日々考えているのは、来年も再来年も、この会社が同じように続いていくこと。社員に給料を払い続けられること。取引先に迷惑をかけないこと。派手な成長ではなく、足元が崩れないこと。それが本音だと、私たちは見ています。

経営者がDXに求めているのは、成長安定

任せても大丈夫だ、と思える相手かどうか。ここを外したDXは、どれだけ機能が立派でも、社長の心には届きません。

成長を目標に置くと、DXはしんどくなる

成長を目標に据えたDXが、なぜしんどいのか。理由ははっきりしています。成長を目的にすると、終わりがなくなるからです。

売上を上げるための仕組みを入れる。入れたら、次はもっと上げるための仕組みを求められる。現場は新しいツールを覚え続け、社長は投資を増やし続ける。立ち止まれば「後退した」と感じてしまう。導入したツールが現場に合わず、誰も使わない。けれど投資はしてしまったから、引くに引けない。次の機能、次の連携と足し続け、現場は疲れ、社長は「これで本当に良かったのか」と問い続ける。成長を目標に置いた瞬間、DXは安心するための手段ではなく、不安を生み続ける装置になっていきます。

世間の常識
DXは会社を成長させるための手段だ
私たちの読み
現場のある会社が本当に欲しいのは、明日も今日と同じように会社が回っている安心

成長を目的にすると、DXは終わりを失います。安定を目的にすれば、どこで手を止めていいかが分かります。

私たちも、成長の言葉で語りかけていた

偉そうなことは言えません。私たちも最初は、成長やスケールを善として語っていました。

「もっと効率化できます」「もっと広げられます」。そう提案するほうが、勢いがあって、聞こえもいい。けれど、それは私たちが見せたい絵であって、社長が見たい絵ではなかった。相手の不安に向き合わず、こちらの得意な土俵で話していただけでした。成長は善、スケールは善。その一般的な経営論に乗っているうちは、目の前の社長が夜に何を心配して眠れずにいるのかが、見えていませんでした。

安定は、縛りではなく中身で支える

では、どうするか。私たちは、安定を「縛り」ではなく「中身」で支えると決めました。

長期契約やロックインでお客様を引き止めれば、見かけ上の安定はつくれます。でもそれは、お客様の安定ではなく、私たちの安定です。私たちが選んだのは逆でした。システムを納めて終わりにせず、月に一度は現場に足を運ぶ。会社の課題を集め、一緒に次の一手を考えていく。運用で発生する作業はAIで自動化して削り、人が出すべき価値だけを、人が出す。契約で縛らなくても、価値を出し続けるかぎり、隣にいられる。安定とは、縛って動けなくすることではなく、動き続けられる状態のことです。

社長が安心して眠れる足元を、一緒に固める。
それが、私たちの考えるDXの目的です。

私たちは、社長の成長を目標にしません。

私たちが顧客と向き合うとき

だから私たちが顧客と向き合うとき、最初に描くのは成長曲線ではありません。この会社は、いま何が崩れると立ち行かなくなるのか。その社長は、何が起きないと安心して眠れるのか。そこから見ます。

成長をうたうDXは、聞こえはいい。けれど、現場のある中小企業が本当に欲しいのは、明日も今日と同じように会社が回っている安心です。私たちは、その安心を、今いるメンバーで回る形でつくります。人を入れ替えて伸ばす話でも、規模を追う話でもありません。この会社の足元を、この会社の人ごと固める。それが、私たちがDXでお渡ししたいものです。

一人では、会社は変えられない。
だから、一緒に変える。

まとまっていなくても構いません。
お話を伺い、一緒に整理するところから始めます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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