コラム

人は、水のように生きるべきか

人を「水」に変えようとするDXは、なぜ中小企業で続かないのか? 界面化学出身の私が十四年かけて出した結論は「油は水にはならない」で、人を変えずAIで人とシステムを乳化させる道を選びました。

エマルシア株式会社

「人よ、水のように生きよ」

私は、戦国武将・黒田如水が遺した生き方の教えを、経営の理想として尊敬しています。「水五訓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。戦国時代、豊臣秀吉の知恵袋といわれた黒田官兵衛——のちの黒田如水の言葉です。「人よ、水のように生きよ」。私は、この教えが好きで、尊敬しています。

自ら動いて、周りを動かす。
どんな障害にも、止まらない。
せき止められるほど、力を蓄える。
濁った水も、拒まず受け入れる。
形を変えても、水であることをやめない。

今いる人が、水のように、自ら動き、止まらず、しなやかに働く。そんな組織は、理想だと思います。

でも、やってみて、難しさを知った

資本のない会社にとって、「水のように働く組織」を実際につくるのは、理想ほど簡単ではありませんでした。自分で仕事をするようになって、分かったことがあります。この「水のように」は、理想ではあるけれど、実際にやるのは、とても難しい。

大きな会社は、お金をかけて、これを実現します。マニュアルを整え、統制を効かせ、優秀な管理者を雇い、独自のシステムを組む。そうやって、人という「油」を、少しずつ「水」に変えていく。均一に整えられた、水のような組織。それは、資本があるからできることです。

十四年で出した結論は、「油は水にならない」

私が十四年かけてたどり着いたのは、人を無理に組織へ合わせて変える道ではありませんでした。では、そこまでの資本がない会社は、どうすればいいのか。

十四年、仕事をしてきて、私が出した結論は、こうです。油は、水にはならない。人を、無理に水に——均一なシステムの部品に——変えようとすること自体が、そもそも無理な挑戦なのだ、と。まして、大企業のやり方をそのまま真似ようとすれば、なおさらです。

十四年かけて分かったのは、
油は、水にはならない、ということでした。

うまくいっている中小企業は、逆をやっている

うまくいっている中小企業は、人を組織の型に合わせるのではなく、その人のまま活かして成り立っていました。では、うまくいっている中小企業は、何をしているのか。見ていると、まったく逆のことをしていました。

油を、油のまま活かす。人を型にはめず、その人らしさを残したまま、システムになじませていく。おもしろいのは、これは大企業には、かえって真似ができないことです。油と水の量が多すぎて、かき混ぜる手間が、とてつもなくかかるからです。つまりこれは、中小企業だからこそ、できることなのです。

世間の常識
人(油)を、水に変える
製造業の当たり前
人は油のまま、水になじませる

鍵は、油と水をつなぐ「界面」

油と水を混ぜるとき、勝負になるのは、二つが触れ合う境目——「界面」です。私はもともと、界面化学という分野を研究していました。だからこそ、ここが要だと分かります。

油と水の界面を、どうつなぐか。ずっと考えて、たどり着いた答えが、AIでした。AIが、油(人)と水(システム)のあいだに立つ。人を変えずに、人とシステムを、一つの流れになじませる。乳化剤の役割です。

だから、乳化した組織を、一つでも多く

人を水に変えるのではありません。油のまま、水と混ぜる。その人らしさを残したまま、システムと調和させる。それが、私たちの社名、エマルシアに込めた仕事です。

私は、そういう「乳化した組織」を、一つでも多く作りたいと思っています。水五訓の理想を、中小企業の現実のなかで、別のかたちで実らせるために。

よくあるご質問

AIで人とシステムを「乳化」させる取り組みは、どれくらいの期間と費用がかかりますか。
私たちはまず、現場で誰がどんな段取りで働いているかを見せていただく期間を、二週間から一か月ほどいただきます。人を型にはめ替えるのではなく、今のやり方を残したままAIをなじませるので、最初に一律の金額は出しません。何をなじませるかが見えた段階で、費用と期間を一緒にお出しします。小さな一業務から始めて、回ることを確かめてから広げる進め方をお勧めしています。
人を変えないと言いますが、それでは現場はいつまでも成長しないのではありませんか。
私たちが変えないのは、その人のやり方や持ち味であって、成長を止めるという意味ではありません。むしろ、慣れたやり方の上にAIを重ねることで、覚え直す負担が減り、本人が本来の判断に時間を使えるようになります。均一な型に押し込めるほうが、かえってその人の勘や段取りという蓄えを捨てることになると考えています。変わるのは働き方の窮屈さで、人そのものではありません。
AIをなじませても、現場になじまず使われなかった場合はどうするのですか。
使われないと分かった時点で、私たちは作り込みを進める前に立ち止まり、どの工程で現場の感覚とずれたかを一緒に確かめます。人を変えずに合わせる設計なので、直す対象はたいてい画面や入力の順番といった表層で、土台をやり直す必要はほとんどありません。ずれの原因を記録に残しているため、どこで食い違ったかを後から辿れます。合わなかったこと自体を失敗ではなく、なじませる過程の一部として扱います。
AIに詳しい担当が社内に一人もいなくても、この進め方をお願いできますか。
お願いできます。人とシステムのあいだをつなぐ設計は私たちが引き受けるので、現場の方には、ふだんの仕事の流れをそのまま見せていただくだけで十分です。新しくAI人材を採用してから、という順番でなくても始められます。私たちが乳化剤の役割を担い、現場は今までどおりの働き方を続けられる状態をつくります。

技術は真似できる
定着させるノウハウが、弊社の強みです。

Q1 / 4あと 4 問

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