燃えた3件を辿ったら、全部"契約の前"だった
開発は順調なのに、なぜ案件が燃えるのか? 立て続けに燃えた三件の火種はどれも契約前の商談にあり、そこを変えたら商談は六件中五件が成約しました。

ある時期、私は営業を人に任せきっていました。開発に集中したかったからです。その結果、案件が三件も立て続けに燃えました。
「営業は聞くだけの仕事」だと思っていた
私が営業という仕事を甘く見ていたことが、三件の炎上の始まりでした。そのころの私は、営業を自分に向いていない仕事だと思っていました。ある程度の要望さえ聞けていれば、あとは開発側で調整できる。そう考えていたからです。
だから安心して任せました。開発さえ確かなら事業は回ると、信じていたのです。
実際、継続してくださる顧客も増えていましたが、思ったように売上は伸びませんでした。そんな中、炎上案件が増えていく。役割を分けて効率よくしたはずなのに、なぜかうまく回らなくなりました。
燃えていたのは、開発ではなかった
原因を一件ずつ辿っていくと、火種はいつも契約前の商談にありました。開発でも納品でもなく、いちばん最初の、契約前の商談です。
商談で相手の困りごとを取り違えたまま進むと、後の工程はもう何をやっても燃えます。どれだけ丁寧に作っても戻せません。最初のボタンを掛け違えているからです。
遠回りに見えても、契約の前に掴むほうが、結局いちばん速くて燃えません。
私は「営業」を取り違えていた
原因を辿るうちに、自分の勘違いにも気づきました。私はずっと営業が嫌いだと思っていましたが、本当に嫌だったのは集客のほうで、営業そのものではなかったのです。
営業の正体は、相手を深く理解することでした。品質管理の現場から数えて、私がいちばん長く磨いてきたものです。自分にとっていちばんの武器に間違った名前をつけて、封印していました。任せてはいけないものを、任せていたわけです。
商談を、変えた
商談で変えたのは、話し方ではなく、契約の前にどこまで確かめきるかでした。やったことは単純です。仲良くなって聞くのをやめ、相手さえ言葉にできていない困りごとを、契約の前に掴みきることに時間をかけました。
そして、これを私ひとりの勘に頼らないよう、チームにも同じやり方を持たせました。「なんとなく聞く」から「最後まで確かめる」へ、意識ごと変えたのです。
押し込んで取った数ではありません。困りごとが噛み合ったから決まった、五件です。
六件中五件。この数字が変わったとき、やり方は正しいと確信しました。作る前に理解が噛み合えば、お客様も安心して任せられるので、案件は自然と決まっていきます。
だから、契約の前に聞く
私たちがいちばん時間をかけるのは、作ることではありません。作る前に、あなたの現場で誰が何に困っているのかを掴むことです。
私たちのすることは、あなたのやり方を正しい型にはめる作業ではありません。むしろ逆で、あなたと現場が本当に欲しいのに、まだ言葉になっていないものを、一緒に見つけていきます。そこさえ噛み合えば、あとのシステムは驚くほど静かに現場へ馴染みます。
大事なのは技術ではなく、作る前に人を理解できているか。それだけでした。
よくあるご質問
- 契約前の商談では、具体的に何を確認するのですか。
- 私たちは、まず現場で誰がどの作業に詰まっているかを、担当者本人の言葉で確かめます。要望として言語化された部分だけでなく、その裏にある本当の困りごとを、質問を重ねて引き出します。図や画面のたたき台をその場でお見せし、認識がずれていないかを一つずつ照合します。ここが噛み合うまでは、見積もりも開発も先に進めません。
- 商談や要件のすり合わせに、費用や期間はどれくらいかかりますか。
- 困りごとを掴むための最初のすり合わせは、私たちの提案の一部として行い、そこだけを切り出して費用をいただくことはしません。期間は案件の複雑さによりますが、現場の状況が見えるまで数回の打ち合わせをかけるのが通常です。私たちは、何に困っているかが定まらないうちに金額を出しません。曖昧なまま出した見積もりは、後で必ずずれるからです。
- それだけ商談に時間をかけても、結局ずれてしまったらどうするのですか。
- ずれに気づいたら、作り進める前に立ち止まり、どこで認識が食い違ったかを一緒に確認します。私たちは商談で掴んだ困りごとを記録に残しているので、どの前提が変わったのかを後から辿れます。手戻りは、完成後に発覚するほど高くつきます。だからこそ早い段階でのずれは歓迎で、その都度すり合わせ直すことを前提に進めます。
- 遠方でも、オンラインだけで困りごとを掴みきれますか。
- オンラインでも進められますが、私たちは可能なら一度は現場を実際に見せていただくようお願いしています。画面の向こうでは、机の上の紙や、担当者が無意識にしている手順が見えにくいからです。難しい場合は、作業の様子を録画や写真で共有していただき、質問を重ねて補います。掴む対象は言葉になっていない部分なので、情報が多いほど取り違えを防げます。